秋の箱根 2015  その6

湯雨竹(ゆめたけ)ものがたり

ミスター K

「竹製温泉冷却装置」

平成16年4月。春の訪れとともに、男たちの熱い思いを詰め込んだ「竹製温泉冷却装置」は、いよいよ本格的に 動き始めていた。14日には実用新案登録を済ませ、17日にはプレス発表、そして公開実験と、より多くの人の 目に触れる機会が増え、マスコミでもたびたび取り上げられるようになっていた。

 しかし困ったことに、肝心の装置の名前がまだ決まっていなかった。各マスコミで紹介される際も「竹製温 泉冷却装置」という、なんとも堅くて、長ったらしい名前が使われていたのである。親しみやすく、それでい て一言でこの装置の全てを言い表すような、そんな名前はないだろうか? 装置の完成に喜んだのもつかの間 。ふたたび河野社長、斉藤主任研究員、河野専務の3人は頭を抱えることになってしまった。 

気付けば、すっかり辺りは心地よい秋風が吹く季節になっていた。そんなある日、斉藤主任研究員の知り合い で、日本財団に所属する山田吉彦氏が大分に来県することになった。山田氏はマラッカ海峡などの海賊問題を 専門とし、日本における海上安全分野の第一人者である。大分県産業科学技術センターの客員研究員でもあっ た。斉藤主任研究員は、温泉好きでもある山田氏を「ひょうたん温泉」へと軽い気持ちで誘った。ついでに自分 の開発した「竹製温泉冷却装置」の実物も見てもらおうと、ひょうたん温泉の裏手にある装置へと彼を案内した 。

 ザアザアと滝のような音をたててお湯が流れる、その見慣れない装置を見るや「デカイなあ」と山田氏は感 嘆した。そしてその直後、思いもよらぬ言葉が出てきた。『湯雨竹』はどうでしょう?“湯”に“雨”、“竹 ”と書いて“ゆめたけ”と読む。」 斉藤主任研究員はその言葉を耳にした途端、これだと確信した。「いい ですね!『湯雨竹』!『ゆめたけ』!響きも良いですね!これならいけますよ。山田さん、ありがとうござい ます!」

 早速、斉藤主任研究員は河野社長、河野専務にもこのネーミングを伝えた。温泉を表す“湯”、冷ますという 意味で“雨”、そして素材である“竹”。三つの漢字が全ての要素を語っていた。しかも、今まで出てきた、 どのネーミングにも劣らない美しい響きだ。「ゆめたけ」。ひらがな四字に、思いが全て凝縮されている奇跡 のネーミングに思えた。全員が納得だった。かくして『湯雨竹』は誕生したのである。












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